かつて銅製錬業や採石業で栄えた犬島は、面積0.54 km2(東京ドーム約12個分)という小さな島に1,000軒以上もの家が立ち並ぶほどの賑わいをみせた時代がありました。しかし、製錬所の煙害で山の木々は枯れ果て、その山も明治末期から始まる大阪築港工事に必要な石を拠出するために切り崩し、高さを失くした「ペッタンコの島」となりました。やがて採る石もなくなってしまった島は、あっという間に人口が減っていき、限界集落となってしまいます。使われなくなって廃墟となった製錬所を美術館として再生するアートプロジェクトが公益財団法人福武財団によって開始されて以後、犬島は「アートの島」として生まれ変わろうとしていますが、それでも現在の夜間人口は30人足らずと、共同体の消滅危機にまで直面しています。
そこで、古くからの島民と、犬島の魅力に惹かれてやってきた移住者たちが集まって「犬島ととと倶楽部」は誕生しました。法人名の「ととと」には、犬島の多様な魅力を「と=&=
with」でつなぐ役目を果たすことで、島が抱える様々な問題に取り組み、その経緯と価値を全世界に提示したい、という願いが込められています。島に残る資源や知恵を活かし、空き家や植生を整備し、自然環境と共生しながら「手入れ」と「手仕事」を大切にすることで、ここでしか得られない「小さなくらしを楽しむ」共同体を育んでいきたいと考えています。犬島ならではのワークショップの開催、商品の製作・販売等を通じて、世界中の人たちとの新しい「と=つながり」が生まれることを切に願っています。